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農商工連携・経営多角化実践事例6

地域の資源と人材を活かし貢献を目指す

岐阜県中津川市
株式会社サラダコスモ
社長・中田智洋さん

 サラダコスモ・グループの本拠ビル1階には〝ちこり村〟の愛称で親しまれるスペースが設けられている。その一角を占める家庭料理レストラン『バーバーズダイニング』には ウィークデーにもかかわらずたくさんの人が詰めかけ、家族、友人同士で手作り料理を楽しみながら歓談している。
中田智洋さん

中田智洋さん

 開業から満2年。雪のない4~11 月は期待 通りだったが、1~2月となると観光客もさっぱり。ところが昨年から客足が伸び出した。今年に入ってからは前年同期比5割増の勢いを維持しているが、それは「お客様による口コミのお陰」と中田さんは満足げで、観光シーズンまでにレストラン拡充を終える予定だ。
 グループが施設栽培し、地元農家がつくった野菜等を原材料とすることへの安全・安心感が人気を呼ぶのだろうが、もう一つ見逃せないのは、他では食べられない野菜類を使った献立があること。その代表ともいうべきがチコリである。
 オクラは40 年前にわが国に導入されたが、原産はインド、アフリカの野菜。それが今日では日本の野菜として親しまれている。ここまで普及したのは醤油、鰹節とマッチングできたからに他ならない。アフリカ料理でしか食べる機会がなかったなら、日本人が1年に1回食べたかどうか。
 同様にチコリも欧州料理の食材でしかないが、これを「わが国に普及させよう」と中田さんは単に栽培するだけでなく、調理方法も含めてチコリのPRに取り組んできた。カレー、焼肉、鍋物等に。また味噌や醤油を使って「和食の中に落とし込もうとしてきた」。その実験的な試みが『バーバーズダイニング』という訳だ。

国、地域レベルで農に関わる

 元々の家業はラムネの製造・販売で、副業的にモヤシを栽培していた。やがてモヤシ栽培一本に転じるが、本格化に際して思いついたのは「漂白剤・添加物を一切使用しない」こと。28 年前既に安全・安心を志向していたのだが、難儀したのはO-157 事件。その後手掛けていたカイワレダイコンが全く売れなくなり、「赤字経営寸前まで追い詰められた」。
 1998 年からは岐阜県が取り組む食糧確保プロジェクトに参画する。南米に移民した岐阜県出身の農家と連携し、平常時のいまから県民のために食糧供給の安定確保を図ろうとするもので、中田さんは現在、アルゼンチンに1250 ㌶の農地を所有する株式会社ギアリンクスの社長も務める。
 同様に、ちこり村も食料供給の安定、自給率の向上、農地の有効活用など農業振興を図ろうと設けられた。加えて「高齢者が生き甲斐を感じ、地域が元気な再生を目指すための機会になれば…」との願いもこめられた。サラダコスモが持つルートを通じ、「お菓子の町中津川から素晴らしい地元産品を全国に向けて発信・紹介しませんか」と呼びかけている。
 グループ全体での年間売上高は56 億円。従業員100 人のほか、パート300 人が勤務しており、生産・販売する野菜はモヤシ類をはじめ、カイワレダイコン、アルファルファ、チコリ、発芽大豆、ブロッコリー等多種に及ぶ。

進出先では地元の人材を活用

 サラダコスモは生産拠点を長野県駒ヶ根市、栃木県宇都宮市、兵庫県三木市等にも設けている。駒ヶ根は主力のモヤシ栽培に欠かせない良質、大量の地下水を確保するため。また宇都宮、三木は大消費地に近く物流、品質管理上でのメリットが大きいことから進出した。
 そして駒ヶ根市の場合で2つの生産施設に勤務する従業員・パート全員が地元採用の人員である。25 年前の立ち上がり時こそ本社からの派遣もあったが、現在は「工場長をはじめ全員が地元出身」。地下水という地域の資源だけでなく、人材も活用するのがサラダコスモの基本方針だ。

ちこり村の『バーバーズダイニング』

ちこり村の『バーバーズダイニング』

 地元の資源、人材の活用という点では、『バーバーズダイニング』をちこり村に招致したのも同じ。ちこり村を軸とする商工との連携、つまりレストラン、ホテル、道の駅等を通じての発信でサラダコスモとその商品への認識を高めて貰うのがねらいだ。もちろん、応援してくれる側へのお礼も忘れず、そうした業者の商品はちこり村の販売施設で取り扱われている。

南北アメリカ大陸縦断を敢行

 8 年前、中田さんは南北アメリカ大陸を2カ月かけて車で縦断した。米国アラスカからアルゼンチンまで、2万5000 キロの旅の間、仕事、人生、健康など、さまざまな角度から思索した。いうなれば内観の旅ということであったが、悟りにも近いものとして感じたのは「済んだことにくよくよせず、未来を恐れず、今に全力を」ということである。
 サラダコスモが民間企業である以上、少なくとも「収支はトントンでなければならない」。と同時に企業として「地域、社会への貢献も果たさなければならない」とする。
 こうしたイズムは徐々に従業員にも浸透しており、「それがうまくからみだした結果と見て良いだろう、順調な業績を得ている」。
 食糧の安定確保という国レベルでのプロジェクトに携わるのがギアリンクスの事業であるならば、ちこり村は〝地域〟に焦点を当てた試みである。両者に共通する社会的貢献こそがサラダコスモ・グループに将来展望をもたらす大きな力になろうとしている。

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